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立山連峰縦走 〜薬師岳・五色ヶ原・立山〜 その2

立山連峰縦走

〜薬師岳・五色ヶ原・立山〜 その2

青空薬師岳
快晴の薬師岳
day2

朝の天気は上々。

さぁ今日はここ太郎平から薬師岳、北薬師岳、間山を越えてスゴ乗越小屋まで。
 
まずは深田百名山にも名を連ねる名峰・薬師岳を目指して出発です。
太郎平から見える山々
太郎平から見える山々
高曇りで昨日はなかなか姿が見えなかった水晶岳や三俣蓮華岳、双六岳などがよく見えてます。
太郎平から薬師岳
太郎平から薬師岳

まずはこの木道を進みます。

薬師峠
薬師峠

花も見頃な木道をてくてく進むと薬師峠に着きました。


ここはテント場になっていて、すでに多くが撤収済みだったようです。

昨日の登りで見かけた方々の装備をみると、今年は明らかにテント泊で歩く人が多いと実感します。
薬師峠からの登り
薬師峠からの登り

薬師峠からの登り。


まずはジャバジャバと水の流れる沢状のところを登っていきます。

オオバミゾホウズキ
オオバミゾホウズキ
湿り気のあるところに現れるのはこの花。
オオバミゾホオズキ。
太郎平を振り返る
太郎平を振り返る

まだちょっとしか進んでないけど、振り返って太郎平小屋。


小屋がずいぶんと小さく見えるが
「もうこんなに来たんだぁ」
と、感慨深い気配を出してはいけない。

まだまだ序盤です。
チングルマ
チングルマ
遅くまで雪が残っていたであろう場所には、まだまだきれいに咲くチングルマが。
薬師平から槍ヶ岳
薬師平から槍ヶ岳

薬師平に出ると視界が開け…

 
雲ノ平のその先に槍!!(写真左奥)
ミネズオウ
ミネズオウ

小さな星のようなミネズオウ。

 

ミネズ・オウ?それともミネ・ズオウ?
切るところもよく分からない。

これだけ高い山にあるんだからミネは「峰」だろうな。

ではズオウは?

蘇芳(すおう)というマメ科の木があるが関係なし。
蘇芳(すおう)という名の日本の色があるが関係なし。
栽培品種の花蘇芳(はなずおう)も関係なし。

ここでのスオウはイチイの別名とのことで、イチイに葉が似ているから…とか。
 
あ、そっち?なネーミングの峰蘇芳。
ハクサンイチゲの蕾
???

さてこれはなんでしょう。


お供え物のおまんじゅうみたいですね。
ハクサンイチゲ
ハクサンイチゲ
答えはハクサンイチゲの蕾でした。

咲くとこんな感じです。
ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ

この真夏に雪どけ直後に咲くショウジョウバカマも!

 

雪溜まりの周辺は季節が混在し春~秋の花が一度に見れます。

コシジオウレン
コシジオウレン
出ました。オウレン軍団の雪国代表、越路黄蓮。

名前の通り3つ葉。ただしミツバオウレンと違って茎が褐色。(ミツバオウレンは緑)

バイカオウレンは茎は褐色だけど5つ葉。

ということで判別は簡単です。

雪の少ない関東にはありません、なんてったって越路ですから。
ちなみに別名はミツバノバイカオウレン。
クロマメノキ
クロマメノキ
似てるシリーズ
コケモモ
コケモモ

似てるのは花の雰囲気と果実が可食でおいしいというところ。


葉っぱが全然違います。
イワツメクサ
イワツメクサ

花弁が丸くて一瞬、?となったがイワツメクサ。

 

こう見えて実はV字の花弁が5枚。

ミヤマコゴメグサ
ミヤマ?コゴメグサ
〇〇コゴメグサは判別が苦手です。
薬師岳の圏谷群
薬師岳の圏谷群
薬師岳山荘に到着しました。

薬師岳と言えばこれ、
「国指定特別天然記念物 薬師岳の圏谷群」

圏谷はカールのことです。
あの涸沢カールや千畳敷カールのカールです。
それらを差し置いて特別天然記念物なのは日本で唯一「薬師岳の圏谷群」のみ。

※ちなみに立山の山崎カールは天然記念物です。
薬師岳山荘より黒部五郎岳
薬師岳山荘より黒部五郎岳

黒部五郎岳のすぐ左にひょっこり笠ヶ岳。

 

そして、その右に浮かぶは…御嶽山!!

薬師岳への登路
薬師岳への登路

爽やかな青空と羊雲。

 

the高山の雰囲気の中、快適に薬師岳山頂を目指します。

薬師岳と後立山連峰
薬師岳と後立山連峰

標高をあげると進む先のさらに奥に後立山連峰が!

中央カールと槍穂高連峰
中央カールと槍穂高連峰

薬師岳山頂の手前のピークからは中央カール。引き込まれそうな見事なカールです。


右奥には槍穂高連峰。

薬師岳山頂より金作谷カールと立山連峰
薬師岳山頂より金作谷カールと立山連峰

山頂到着!このうえない快晴です(トップの写真)。


進む稜線上には北薬師岳、その先には立山と剱岳。

今回の終着点である大日岳も見えていますが、まだまだ遥か彼方。


眼下には金作谷カール。

薬師岳山頂より赤牛岳方面の山々
薬師岳山頂より赤牛岳方面の山々
赤牛岳から左下に落ちる尾根の途中には幻の湿原「薬師見平」が見えました。
チシマギキョウ
チシマギキョウ

チシマギキョウは風の強い高山帯に自生します。

 

イワギキョウとの見分けはうぶ毛の有無。
あとは萼や葉の鋸歯の雰囲気。

チシマギキョウ→うぶ毛〇、鋸歯が無いか鈍い。
イワギキョウ→うぶ毛×、鋸歯が鋭い。
薬師岳と金作谷カール
薬師岳と金作谷カール

北薬師の少し手前まできました。

 

薬師岳山頂を振り返ると金作谷カールの底にモレーン(氷河が削った岩や土砂が堆積した地形)が見られます。

金作谷カールのS字モレーン
金作谷カールのS字モレーン

モレーンをアップで。

蛇行しているのが分かると思います。

 

こんな形なので、S字モレーンなんて呼ばれてます。

北薬師岳
北薬師岳

岩場を慎重に進むと北薬師岳に到着。

 

道標はボロボロで、なぜか眼鏡×2。

ハクサンシャクナゲ
ハクサンシャクナゲ

まだハクサンシャクナゲも咲いていました。

 

亜高山ではヒトの背丈を越えますが、高山では這って生活します。

 

今回の記事の中では、

ミネズオウ

クロマメノキ

コケモモ

と、このハクサンシャクナゲは同じツツジ科ツツジ属。

ヨツバシオガマ
ヨツバシオガマ

この花も大半が終わりかけでしたが、これはまだまだきれいな個体。

 

これは今回の記事だと、

オオバミゾホウズキと同じゴマノハグサ科。

シナノキンバイ
シナノキンバイ

長野県代表の金の梅。シナノキンバイ(信濃金梅)。

ハクサンフウロ
ハクサンフウロ

高山のお花畑には決まって顔を出す律儀者。

 

もう葯が全て落ち、雌しべが開いている状態。

この頃になると花弁に隙間があるこの雰囲気になります。

 

花が縮こまっている時は男性。のびのび開いている時は女性。

といった感じでしょうか。

ミヤマツボスミレ
ミヤマツボスミレ

高山のスミレでこの雰囲気だったら大体ミヤマツボスミレ。

 

スミレの見分けは大変と思われますが、見た目じゃなくて「どこに咲いているか」から入ると俄然楽。

 

※この「どこ」というのは高山、亜高山、山地、低山という垂直分布帯だけでなく、礫地、湿地、林の中などの環境も含みます。

スゴ乗越小屋の夕食
スゴ乗越小屋の夕食

北薬師から間山を経て岩場や草原を下り基調で淡々と降り、樹林に突入するとスゴ乗越小屋が現れました!

 

2日目終了!今日もお疲れ様でした。 

 

 

写真ではきっと伝わりませんが、このスゴ乗越小屋の味噌汁は絶品でした。

 

今日の後半でちょっとお疲れなテント泊縦走登山者を何名か見かけました。

北薬師ってまだですか…。という感じの。

 

そこから薬師岳を越えて薬師峠までもけっこうありますが…大丈夫?

と、そんなお節介は言いませんが、ついそう思ってしまいます。

 

多分今日は五色ヶ原から来ているのでしょう、最終的にどこまで行くかは分かりませんが、そういう人は大抵装備がごつ過ぎ。

 

あと、ザックの外にコップとサンダルのぶら下げ率高し。

これってどこの誰が普及させているのでしょうか?

コップを外にぶら下げる意味とは?

サンダルをザック内に仕舞わない意味とは?

 

計画のことを言えば、おそらく今日歩く道のアップダウンをあんまり勘定できていないように思います。

コースタイム地図(基本、平面で見る)だけではなかなかご自身の疲労度合いが想定できないのでしょう。

やっぱり地形図でどのくらい登ったり下ったりがあるのか、急登なのか緩い登りなのかなど、

事前に把握していないとちゃんと山と向き合えません。無尽蔵に体力があるなら別ですが。

 

もっと地形図を活用しましょう。等高線を読みましょう。

 

とは言え、そういう苦しい登山を経て、少し痛い目にあって装備がブラッシュアップされたり、計画が上手くなったりするんですけどね。