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伊豆大島 その2

伊豆大島 その2

泉津の切り通し
泉津の切り通し

12月初旬にガイドで伊豆大島に行ってきました。二日目。

day2

朝からまさかの雨…予報ではせいぜい曇りだったのに!

そんな天気ですが、今日はいろいろ見ながら島を反時計回りに一周します。

地層切断面
地層切断面

最初はインパクト強めのここ!地層切断面。

 

通称はみたまんま「バームクーヘン」。伊豆大島火山の噴火の履歴書です。

 

残念ながら当日は壁面の崩落保護の工事をしていて、囲いがされていたり…


そんなこんなでまともに写真が撮れなかったのでこの写真は過去に撮ったものです。

トウシキキャンプ場
トウシキキャンプ場

島の南側にあるキャンプ場「トウシキキャンプ場」にきてみました。


本当はこんな天気。


新しいトイレが出来ていて、更に何かしらの工事も行っていました。今はコロナの影響でキャンプ場自体の使用を休止しているようです。

 

波の音を聞きながら広々した芝生でテントで眠れる素晴らしいキャンプ場です。

しかも使用料は無料。


天候のわりには三原山が良く見えています。

イマサキ
イマサキ

トウシキキャンプ場に面した海岸線。

 

イマサキと名前のついたこの辺り、切り立った崖が見えます。

すぐそばにあった説明板によると、マグマ水蒸気噴火によってできた丘の名残とのこと。

 

大島は三原山だけではなく、あちこちの地形が火山活動によってできているんですね。

波浮の街並み
波浮の街並み

少し移動して波浮港にやってきました。


かつて遠洋漁業の中継地として栄華を極めた波浮の港ですが、その面影が残る街並み。

みなとや
みなとや

川端康成『伊豆の踊子』のヒロイン薫(踊子)が度々呼ばれて演芸をしていたという港屋旅館。

いまは「踊子の里資料館」となっています。

波浮港
波浮港

旧港屋旅館付近から波浮港を見下ろす。

 

丸い形は火口湖であった名残です。

1703年に起こった大津波で火口湖の一部が海と繋がりこのような形になりました。

岳の平登山口
岳の平登山口

さぁ今日も1座登りますよー。

波浮港やトウシキキャンプ場にほど近い「岳の平」に登ります。この山は僕もはじめて。

 

登山口にはまあまあ立派な道標があったので、愛宕山よりは歩かれているのかな?と思ったのもつかの間、すぐに踏み跡は薄く。


そしてしばらく進むと急坂に!直射日光が当たると暑い暑い。

岳の平壊れた鳥居
岳の平壊れた鳥居

ほぼ山頂まで来たかな?というあたりで足元になにやら人工物が。

これは…崩れた石の鳥居ですね。

岳の平三角点
岳の平三角点

その奥に小さな祠があり、一番高いだろうと思われるところに三角点が。

山頂付近もほとんど踏まれている様子はありませんでした。

 

ある地図では好展望マークがついていましたが、山頂からの展望ほぼ皆無。少し残念。

 

ちなみに岳の平もご多分に漏れず測火山です。

筆島
筆島

岳の平から下山し、伊豆大島を語るうえで外せないポイント「筆島」へ。

 

この島は今の三原山を中心とする火山(伊豆大島火山という)が活動を開始する以前に、岡田火山、行者窟火山、筆島火山の3つの火山が活動していました。

で、この写真の筆の先のような島(岩)は、その筆島火山のマグマの通り道の中で固まった岩の名残。

 

小さいけど大島の大先輩です。

泉津の切り通し
泉津の切り通し

ここは伊豆大島のポスターとかにも使われている名所。

その名も「泉津の切り通し」。

「泉津」この辺りの地名で、そこにある切り通しということです。


このまま階段を登り奥に進んだら異世界に誘われそう。

 

 

で、ここからが今日のメイン。

まさかの再び三原山へ。

三原山
三原山

やってきました三原山。

ススキが輝いています。

 

本当は朝一で来ようとしていたのですが、天気がいまいちだったので、回復を待って訪れました。

なんとか期待通り持ち直してくれて良かった。

 

この台形が三原山。安永の大噴火(1777-1779)でできた火口丘(噴火の際に火口周辺に噴出物が降り積もって出来た丘)です。


やまの斜面を流れるような黒い筋は最も新しい1986年の噴火の際の溶岩流。


写真では分かりませんが、三原山とススキの間の部分の右側2/3は1951年の噴火の際の膨大な溶岩流が埋め尽くしています。

以前ここは表砂漠と呼ばれる砂地でラクダが闊歩していたとか。

安永溶岩
安永溶岩

遊歩道から少し外れるとあちこちに溶岩流が流れてそのままの姿で固まっています。

これは安永大噴火の際のマグマです。

 

この一枚、ちょっとおかしなところがありますが分かりますか?

1986年溶岩流から三原山
1986年溶岩流から三原山

二枚上の写真から三原山側に進んで、1986年溶岩流の先端(ここまで流れてきて止まりましたってとこ)までやってきました。

先端ですが小さな丘で、三原山を望むのにちょうどいい展望台になっています。

 

たった34年前にこの溶岩流があの中央火口から溢れてここまで流れてきたと思うと、いまの穏やかさが信じられません。

 

若くて男前な三原山を見れたので目的達成。戻りましょう。

航空慰霊碑
航空慰霊碑

駐車場まで戻り、最後にひとネタ。

昨日「もく星号墜落遭難の地」に行きましたが、これがその慰霊碑。

 

戦後の不可解事件のひとつ、もく星号墜落事故。

現地でその謎に迫りたい方は是非マツウラ企画の伊豆大島ツアーへご参加下さい。

 

※あくまでも大島でのおまけ要素のひとつです。過度な期待はお避け下さい!

※いまのところ大島の企画はありませんがそのうち設定します。乞うご期待!

さるびあ丸
さるびあ丸

三原山から(車で)下山し、帰路へ着きます。

この日は元町港から出港でした。

 

まる一日しっかり使った大島満喫コースでした。


大島を徒歩と車でクルクルと回った2日間。

今回のお客様は初伊豆大島でしたが、初めての大島にしてはかなり濃い内容だったのではないでしょうか?

東京発で火山を見るならここ、火山を知るならまずはここ、こんなにもいい素材を活用しない手はありません。

 

日本の陸地面積は世界の総陸地面積の0.25%ほど、ですが実は地球上の10%の活火山が集中する超火山国。

もしも全世界に均等に火山があったら日本には4個もあれば十分ということですが実際には100個以上あるんです。

(実際そうだったら世界の形がいまとは違うわけですが…)

登山をよくされる方はいつの間にか多くの火山に登られていることでしょう。

大雪山、那須、磐梯山、浅間、八ヶ岳、富士山、白山、乗鞍、御嶽、阿蘇…挙げればきりがありません。

 

無駄に恐れず、良く知って正しく恐れる、あわよくば仲良くなって恩恵を受ける。

大島の人達はかつてからこの火山を「御神火」と呼んで親しんできた歴史があります。

決して戦うことはしない、自然とはそう付き合いたいものです。

 

ぜひもっともっと足を運んで欲しい島、大島。登って欲しい山、三原山。

僕自身がそのことを強く再認識した山旅でした。

おわり
おわり。