秋の御嶽山-2
day3
日の出前に外に出てみると、昨日の天候回復後もなかなか見えなかった北アルプスの山々は当たり前のように見えていました。
静かな朝のこの時間が好きです。
太陽があがってくる方向を見ると、八ヶ岳や南アルプスの山々。
剣ヶ峰も赤く染まっています。
そして御来光。
淡い色の中に甲斐駒ヶ岳、尖ってます。
↓ヒュッテの前から八ヶ岳、南アルプス方面の展望図です。
ヒュッテも朝日の輝きます。
それにしても…寒い!!
氷が張るのも納得の寒さ。自分にとって今季山での初氷です。
ついこの前まで居た尾瀬でも朝晩は「寒いー」って言っていましたが、やはり3,000m峰の寒さは違う。
小屋に入って朝食を頂き、だいぶ引っ張りましたがいよいよ剣ヶ峰に向かいます。
剣ヶ峰を踏んでそのまま下山しますので、小屋主のゆりさんにご挨拶。
「また来シーズン」と再訪を約束し2泊お世話になったヒュッテを後にしました。
ありがとうございました!
2014年噴火の火山灰で大部分は詰めつくされた二ノ池の畔には、覚明行者が立ったまま入定したとされる「覚明立ち往生」の地があり、いろいろな像や碑が建てられています。
まさに御嶽に生きて御嶽に死んだ。ということですね。
この日はヘリの荷下げの日でブンブンとヘリが飛び交っています。
山頂直下の新設されたシェルターのところまで来ると、作業員の方に「あと1,2分でヘリがきます」と言われ急いで階段を上って山頂部へ。
ダウンバーストを受けない山頂が一番安全とのこと。
というわけでせかせかと登頂。
直後にヘリが来ました。
ここだけでなく二の池ヒュッテや画像右にある王滝頂上など御嶽の他の施設も今日まとめて荷下げを行うようです。
シーズンももう終わりですね。
剣ヶ峰から、二ノ池、摩利支天山、継子岳、その奥に北アルプス。
高曇りのおかげで山は良く見えています。良かった。
↓山頂から北アルプス方面の展望図。
御嶽山三十八史跡の22番が剣ヶ峰にある頂上奥社とのこと。
この破損は2014年噴火の傷跡でしょうか。
雲間から差し込んだ幾筋もの光線が山々に降り注いでいます。
なんだか神々しい景色。
刻々と変化する景色と大展望に去りがたい気持ちがありますが、そう言ってても仕方ないので下山開始です。
九合目の石室山荘まで降りてくると、女人堂や御岳ロープウェイが望めます。
中央やや右、赤い屋根の女人堂から下に黄色の木々が目立ちますが、これが御嶽の紅葉の黄色担当「ダケカンバ」です。
黒沢口コースの途中には弘法大師もいらっしゃいます。
ここでは覚明行者に押されてあまり目立ちませんが、遥か昔に空海もこの地を訪れていた、ということでしょうか。
遠く北アルプス方面を見つめています。
金剛童子まで降りてきました。
ここには画像のような○○霊神と彫られた「霊神碑」が多く建てられています。
御嶽教の考えの中に、死後の霊魂は御嶽に帰るというものがあるらしく、この霊神碑はちゃんと戻って来るための道しるべのようなものとのこと。
死後も御嶽に憩いを求める信者の中で霊神碑を建てる風習が広まったようです。
この黒沢口ともう一方の王滝口の2ルート上に2万を越える霊神碑があるらしいです。
女人堂までくると辺りの木々が紅葉真っ盛りです。
登りの時も目にはしてましたが、なんせまわりがガスガスで見栄えしなかった。
今日も曇りですが、遠くの山と針葉樹の緑に黄色系の紅葉が映えます。
山頂方面に目をやると、しっかり剣ヶ峰が見えています。
下山後に登った山が見えるのはいいですね。
道中には様々な石碑や石造が。
ちょっとなんだかは分かりませんがいい感じの石像が道端に。
七合目まで降りてくると行場跡の旗がありました。
とある資料には「覚明行者水行場」とありますので、この奥で滝行を行ったのでしょうか?
詳しくは分かりませんが、この日はほとんど水が流れていませんでした。
行場山荘を過ぎるとウッドチップの歩きやすい道になります。
マイヅルソウは黄葉の中の赤い実が目立ちます。
ウッドチップの道を10分ほどでロープウェイの飯森高原駅に到着です。無事下山となりました。
行きの時は何にも見えなかった展望台に上ると剣ヶ峰から継子岳の南北に長い御嶽山山頂部が一望できます。
一番右の継子岳の左裾の下がり切ったところをよーく見ると…
見えました。幻の滝!
現地に行ってしまうと見えないと言う、ほぼ日本最高所の滝です。
滝もいいけど黄葉もいい!
ロープウェイに乗って下の駅(鹿ノ瀬駅)に降ります。
中央アルプスが間近に。
鹿ノ瀬駅でバスの時間待ちをしていると空が見る見るうちに晴れて青空に!
ちょうど見頃だった赤ソバ(高嶺ルビー)と御嶽山。
この景色が3日間の山行を気持ちよく締めてくれました。
今年2度目の御嶽山。前回同様に天候の変化に苦慮しつつも楽しませてもらえました。
そして平日でも登山者が多く、年齢層も幅があって、本当に広く親しまれている山だと感じました。
この現在の親しみやすさも、かつて覚明行者が自分の命を懸けて「山のご利益を多くの人達に受け取って欲しい」と願ったその想いの延長線上にあるのだと思います。
これは信仰心のどうこうは関係なく、純粋に偉大だと感じます。
山小屋も充実していて小屋泊でじっくりと楽しむこともでき、ロープウェイを使って朝早くから歩けば山頂の日帰りも可能。
道の整備も良く、登り応えもある。といった好条件は御嶽山ならでは。
更には高山植物に雷鳥、ご来光や星空、火山が生み出した火口湖などの山岳景観、山頂からの大展望。
御嶽山の魅力を僕自身がもっと知り、それを多くの人に伝えるべく今後も発見や学びを求めて通い続けたいと思っています。