秋の御嶽山-2
day3

氷が張るのも納得の寒さ。自分にとって今季山での初氷です。
ついこの前まで居た尾瀬でも朝晩は「寒いー」って言っていましたが、やはり3,000m峰の寒さは違う。
小屋に入って朝食を頂き、だいぶ引っ張りましたがいよいよ剣ヶ峰に向かいます。
剣ヶ峰を踏んでそのまま下山しますので、小屋主のゆりさんにご挨拶。
「また来シーズン」と再訪を約束し2泊お世話になったヒュッテを後にしました。
ありがとうございました!

2014年噴火の火山灰で大部分は詰めつくされた二ノ池の畔には、覚明行者が立ったまま入定したとされる「覚明立ち往生」の地があり、いろいろな像や碑が建てられています。
まさに御嶽に生きて御嶽に死んだ。ということですね。

この日はヘリの荷下げの日でブンブンとヘリが飛び交っています。
山頂直下の新設されたシェルターのところまで来ると、作業員の方に「あと1,2分でヘリがきます」と言われ急いで階段を上って山頂部へ。
ダウンバーストを受けない山頂が一番安全とのこと。
というわけでせかせかと登頂。

九合目の石室山荘まで降りてくると、女人堂や御岳ロープウェイが望めます。
中央やや右、赤い屋根の女人堂から下に黄色の木々が目立ちますが、これが御嶽の紅葉の黄色担当「ダケカンバ」です。

黒沢口コースの途中には弘法大師もいらっしゃいます。
ここでは覚明行者に押されてあまり目立ちませんが、遥か昔に空海もこの地を訪れていた、ということでしょうか。
遠く北アルプス方面を見つめています。

金剛童子まで降りてきました。
ここには画像のような○○霊神と彫られた「霊神碑」が多く建てられています。
御嶽教の考えの中に、死後の霊魂は御嶽に帰るというものがあるらしく、この霊神碑はちゃんと戻って来るための道しるべのようなものとのこと。
死後も御嶽に憩いを求める信者の中で霊神碑を建てる風習が広まったようです。
この黒沢口ともう一方の王滝口の2ルート上に2万を越える霊神碑があるらしいです。

女人堂までくると辺りの木々が紅葉真っ盛りです。
登りの時も目にはしてましたが、なんせまわりがガスガスで見栄えしなかった。
今日も曇りですが、遠くの山と針葉樹の緑に黄色系の紅葉が映えます。

七合目まで降りてくると行場跡の旗がありました。
とある資料には「覚明行者水行場」とありますので、この奥で滝行を行ったのでしょうか?
詳しくは分かりませんが、この日はほとんど水が流れていませんでした。

ウッドチップの道を10分ほどでロープウェイの飯森高原駅に到着です。無事下山となりました。
行きの時は何にも見えなかった展望台に上ると剣ヶ峰から継子岳の南北に長い御嶽山山頂部が一望できます。
一番右の継子岳の左裾の下がり切ったところをよーく見ると…
今年2度目の御嶽山。前回同様に天候の変化に苦慮しつつも楽しませてもらえました。
そして平日でも登山者が多く、年齢層も幅があって、本当に広く親しまれている山だと感じました。
この現在の親しみやすさも、かつて覚明行者が自分の命を懸けて「山のご利益を多くの人達に受け取って欲しい」と願ったその想いの延長線上にあるのだと思います。
これは信仰心のどうこうは関係なく、純粋に偉大だと感じます。
山小屋も充実していて小屋泊でじっくりと楽しむこともでき、ロープウェイを使って朝早くから歩けば山頂の日帰りも可能。
道の整備も良く、登り応えもある。といった好条件は御嶽山ならでは。
更には高山植物に雷鳥、ご来光や星空、火山が生み出した火口湖などの山岳景観、山頂からの大展望。
御嶽山の魅力を僕自身がもっと知り、それを多くの人に伝えるべく今後も発見や学びを求めて通い続けたいと思っています。