緑溢れる奥秩父 大弛峠~金峰山~瑞牆山荘

day1
先日1泊2日で奥秩父のガイドをしてきました。
募集をかけていたコースをアレンジして、1:1のプライベートガイドでの実施です。
塩山からバスで大弛峠へ、雨が降っていますが梅雨時期なんでまぁこんなもんでしょう。
バスは我々入れて5名でした。
1時間ちょっとで大弛峠へ到着。けっこう強く降っていたので足早に本日の宿、大弛小屋へ向かいます。
数秒で到着、すでに標高2,360m、東北地方以北の最高峰の燧ケ岳(標高2,356 m)よりも高い。いつもその事実に驚く。

相変わらず渋い案内板です。
車で来られるところですが、変に下界下界しておらず、しっかり山小屋であってくれるのが嬉しい小屋です。
昨年は一度も大弛小屋には顔を出せなかったので、小屋番の小林さんとは2年ぶりにお会いすることができました。
小屋内で軽く食事をとって、荷物を軽くして国師ヶ岳方面へ散策です。
ほとんど雨は降っていませんが、風もあったのでいちおう雨具着て出発。
小林さんから「夢の庭園のハクサンシャクナゲの咲き具合を見てきてー」とのミッション。
金峰山の方では咲きはじめたとのこと、さてこちらはどうでしょうか?

ちょっと歩くとトップの写真ような苔!苔!苔!
あっという間に苔の森真っ只中。ついさっきまで雨が降っていたことも味方して森がとても活き活きして見えます。
まだ車降りた場所から何歩も歩いてませんが…。改めて驚愕です。
ミツバオウレンがお出迎え、黄色い花弁に水滴がついてとてもキレイです。
前国師を通過して、三繋平を右に折れると…

あ、もう2,601mの奥秩父山塊最高峰の北奥千丈岳に到着です。
大弛峠に道路が開通した昭和43年(1968年)以前は奥秩父でも到達するのが最も困難な山だったようですが、今は楽々。
晴れていれば展望の良い山ですが今日は真っ白でした。
今日は展望よりも苔の日。
国師ヶ岳から延びるいわゆる「破線ルート」を除いてみようということで、東に進んで途中から天狗尾根に少し入ってみます。

入って間もなく。
おおっ、けっこう両サイドのシャクナゲとシラビソが張り出してきます。
茶色く見えているのが道。もう少し進んでみましょう。

…道はほぼ埋まりました。戻ります。
ものの数分でしたがウェアは葉についた雨でビショビショ。

やっぱり登山道は歩きやすい!
このまま小屋に帰ってもまだまだ時間が早いので、足元を観察しながらゆっくり戻りましょう。

またまた??なのがいました。
いったいどういう生体なんでしょうか。
森は不思議だらけです。
夢の庭園のハクサンシャクナゲもまだもう少しな感じでした。
なんだかんだで3時間半ほど行動して小屋前に戻ってきました。

しっかりとしたコロナ対策が施されていました。
入り口には手をかざすだけで自動で出るアルコールスプレーが!
下界のお店よりすごい。
室内も仕切りのカーテンや使い捨ての布団カバーなどの工夫がされ、安心して泊まれます。
今日の泊まりは我々2名のみ。
小屋番の小林さんとお客さんと3人、奥秩父のこと、コロナのこと、小屋での驚きのできごとなどいろいろ話をしているとあっという間に21時の消灯時間になりました。
day2
今日は朝日岳、金峰山、大日岩を経て瑞牆山荘までの縦走です。

お世話になりました!
とりあえず今のところ雨は降っていません。
前線の位置が移動してなんとか持ちそうな天候。
梅雨は天候が読みづらく前日の予報からころっと変わることも多いですが、今日はいい方に変わってくれたようです。
苔とシラビソ、コメツガの道アップダウンしながら朝日峠、大ナギ、朝日岳と進み、鉄山の北を巻くと周囲の木の背丈が低くなってきました。

森林限界とは森林が形成される限界の標高を言います。
そこを越すと線を引かれたようにあっという間に木の背丈が低くなり、植生が変化します。
森林限界より低いところは亜高山帯、高いところは高山帯です。
ここから金峰山山頂の高山帯エリアに入っていきます。

高山帯に入ると周囲をさえぎる高い木がなくなるので、一気に視界が開けます!
視界が開けてすぐに来た道を振り返ると昨日登った国師ヶ岳、ついさっき通った朝日岳、左に目を向ければ埼玉県最高峰の三宝山と日本一長い信濃川(千曲川)の源頭の山、甲武信ヶ岳。更に奥には破風山が見えました。

金峰山山頂から富士山!青空ではありませんが、展望には期待できないかぁと思っていたので、これでも大満足の展望です。
右の岩に座っているのは人です。
富士山を眺めながらの憩いの時間はとても気持ちよさそうです。

奥秩父のランドマーク、五丈岩。
金櫻神社のご神体です。
途中まで登って遊んでいる人たちがいました。
大弛峠か瑞牆山荘から日帰りでここまで往復するというパターンが多いようです。
山小屋泊まりもおすすめですよー。

山頂で食事休憩をして先に進みます。
少し進むとしっかり咲いているハクサンシャクナゲが出てきました。夢の庭園よりもこちらの方が日当たりが良いからでしょうか?
咲く時期が違うので、一度の山行で見ることはできませんが、金峰山の周辺では、赤のアズマシャクナゲ、白のハクサンシャクナゲ、黄色のキバナシャクナゲがみんな見られます。

下っていると「千代の吹上」という名前のついた断崖絶壁の縁を歩くところがあります。
名前の通り、崖に当たった風が上方向に吹きあがってきます。
その風の通り道は他とは違う植生になっています。
この花は風の通り道に咲いていたミネウスユキソウ。
他にも同じように風の強い場所を得意とするミヤマダイコンソウが咲いていました。

千代の吹上以降は大きな岩がゴロゴロした道を手足を使って降りていきます。
しばらく下ると、高山帯の木であるハイマツがだんだんと減って木の背丈が再び高くなってきました。今度は登りと逆に森林限界より上(高山帯)から森林限界以下(亜高山帯)に入っていきます。
亜高山帯に入ると、また足元を苔が覆います。

大日岩にへばりつくように綺麗な花と葉を持つ花が。
ニガナは分かるんだけど、なんだろうか?
※調べてみるとそれらしいもので「ミヤマイワニガナ」という名前がでてきましたがこれがそうかは不明。もっと良く観察すればよかった。
大日岩からもひたすら苔の森、5月であればマズマシャクナゲロードと化す登山道を緩い下りで進んでいきます。
標高が下がったせいか、雲が取れたせいかだんだん暑くなってきました。
思えばここまで7月にしては涼しい快適な気候でした。
富士見平から30分ほどすると、勾配がゆるゆるになりやがて広い平坦地に、ここが里宮平。ここまでくると間もなくゴールの瑞牆山荘に到着です。